円グラフの描き方の手順
学習する学年:小学生
1.円グラフの説明
小学校高学年で勉強する統計グラフの種類は、円グラフ、帯グラフ、ドットプロットの3つあります。
円グラフとは、円全体を100%の割合として、個々の項目の割合を扇形の面積で表す統計グラフのことです。
データの種類は、ものの種類・区別を表した質的データと数量を表した量的データがありますが、円グラフは主に質的データを扱うことに適しています。
算数の授業で勉強するグラフは様々あります。そして、個々の項目の割合を表すグラフといえば円グラフ又は帯グラフが一般的です。
円グラフの特徴は、あくまで全体を100%とした時の各項目が占める割合に的を絞ったグラフなので数量イメージがわかりにくいことです。また、全体の数量を使って各項目の割合を算出しないといけず、多くの項目を円の中に入れるとグラフが見にくくなってしまうことです。
円グラフを使う目的は、帯グラフと同じように散らばっていた複数のデータが占める割合を比較する為に使います。
円グラフを描く手順ですが、
- 散らばっているデータをまとめる
- まとめたデータから割合を計算する
- まとめたデータと計算した割合を表にする
- 表の割合の数値を元にして円グラフを描く
という4工程の順番です。
円グラフを描くことができたらそれで終わりではなく、描いた円グラフをじっくり見てグラフからどのような傾向が読み取れるのか考えます。
統計グラフの勉強をして散らばっているデータをまとめてグラフを描き、そして描いたグラフを読み取れる力が身に着くと物事を比較検討する力も同時に身に着きます。
中学生・高校生・大学生・社会人の方で割合(%)の統計グラフの描き方がよくわからないという方は、円グラフと帯グラフを描いて見てください。
以下に円グラフの描き方を例題を使ってわかりやすく説明していますので描き方を読んでイメージをつかんでください。
2.虫歯の本数で円グラフの描き方の例題

まこと君は今まで虫歯になったことは1回もありませんでしたが、今年の歯科検診を受けたら虫歯が3本見つかってしまいました。そこで、自分の虫歯の本数は多いのか少ないのか知りたくなったので、まこと君のクラスの30人分の虫歯の状況を調べて上の図を作りました。
こういう場合を例にして、どのように円グラフにすればいいのか1つ1つ考えてみましょう。
円グラフを描く手順は覚えていますか?
1番目は散らばっているデータをまとめる、2番目はまとめたデータから割合を計算する、3番目はまとめたデータと計算した割合を表にする、4番目は表の割合の数値を元にして円グラフを描くという順番で行ってください。
手順1.
まずは、上の図の虫歯の本数の調査結果に書かれている虫歯の本数と虫歯の人数を整理してみましょう。
整理することはとても重要な作業です。みなさんの部屋の中が散らかっているとお母さんにすぐに片付けるように怒られますよね。散らかっていたものをあるべき場所に片付けると綺麗に整理できます。統計も同じで、散らかっているデータを目的に応じて整理すると綺麗になり意味を持つデータに変わります。
この場合は、虫歯の本数ごとの虫歯の人数の割合を比べるので、虫歯の本数ごとに整理すれば綺麗にまとまりそうですよね。
上の虫歯の本数の調査結果は、0本、1~3本、4~6本、7~9本、10本以上という順番で整列させて正の字を数字に変えると次のようになります。正の画数は5画なので5のことを表します。
- 0本:4人
- 1~3本:12人
- 4~6本:9人
- 7~9本:3人
- 10本以上:2人
ここまでは、絵グラフや棒グラフと同じなので難しくはありませんよね。
手順2.
次は、虫歯の本数の各項目は全体の何%に当たるのかという割合を計算します。
円グラフは割合を表す統計グラフなので、各項目(虫歯の本数の各項目)が占める全体に対する割合が必ず必要となります。
各項目の割合を計算する方法は、各項目の人数を全体の人数で割り算してもらえれば求められます。
全体の人数は、4+12+9+3+2=30人ですよね。
この30を使って計算してもらうと、
- 0本:(4÷30)×100=13.3%
- 1~3本:(12÷30)×100=40%
- 4~6本:(9÷30)×100=30%
- 7~9本:(3÷30)×100=10%
- 10本以上:(2÷30)×100=6.7%
と計算できます。
なお、各項目の割合を足し合わせると100%になるか必ず確認してください。この場合は、13.3+40+30+10+6.7=100%となるので正しいです。
これで各項目の割合の計算が終わりました。
手順3.
次は、まとめたデータと割合を表にしてみましょう。
表を作る時は項目が必要です。この場合は、虫歯の本数ごとに虫歯の人数を調べて割合を計算しましたので、虫歯の本数、人数、割合を項目として表を作るのが適切ですよね。
表を作ると次のようになります。

データの整理がしっかりできていれば、表を作ることは難しくないですよね。きれいにまとまりました。
手順4.
最後は、表の割合の数値を元にして円グラフを描きます。
円グラフを描く時は、円の中に複数の項目が必要になります。この場合は、表の虫歯の本数の0本、1~3本、4~6本、7~9本、10本以上という各項目を使います。
円グラフを描く時の注意点は、各項目はそれぞれの割合に応じた面積となるように描いて色分けすることです。
したがって、各項目は割合に連動して大きさが変動するということです。項目ごとに色分けができましたら、表から読み取った虫歯の本数の各割合の値をそれぞれの箇所に書いてください。
円グラフを描くと次のようになります。

これで円グラフは完成してすべてのデータの整理が終わりました。
円グラフが完成した後は、円グラフからデータの傾向や特徴を考えてみましょう。
まずは、虫歯の人数の多い少ないの割合を比べて見ると、
- 虫歯の人数が一番多かった本数は1~3本の時
- 虫歯の人数が一番少なかった本数は10本以上の時
ということがわかります。
また、クラス全体の7割の生徒が1~6本の虫歯があるということがわかります。
しかしながら、円グラフを見ただけでは何人の生徒がそれぞれの虫歯があるのかわかりませんよね。
棒グラフは数量をそのまま表していましたが、円グラフは数量ではなく割合を表しているので、全体でどのくらい占めているのかということしかわからないのです。
円グラフから具体的な数量が知りたい時は、全体の数量と個々の項目の割合を使って数量を計算しないといけないことを覚えておいてください。
この場合は、
- 0本:30人×13.3%=4人
- 1~3本:30人×40%=12人
というように数量(人数)は計算できます。
したがって、円グラフは各項目の割合を比較する時に使うことに適している統計グラフとなります。
円グラフは割合(%)、棒グラフは数量で使い分けることをわかっていただけたでしょうか。